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組合BLOG

技能実習及び特定技能をめぐる入国制限措置・検疫措置などの現状と展望

国際的な人物往来の再開に向けての期待が高まっていますが、入国・検疫規制は非常に複雑で、かつ刻々変化することから、わかりにくいとの指摘をよく受けます。そこで、簡単にまず現状から、(1)入国制限、(2)検疫対策、(3)ワクチン証明書の3層に分けて説明します。

(1)入国制限 
入管法第5条1項14号に基づき、上陸申請日前14日以内に、合計160カ国・地域に滞在歴のある外国人については上陸拒否の対象となっています。伝統的な技能実習・特定技能送り出し国(18カ国)の中でこの対象にならないのは中国、ベトナム、ラオスの3カ国ですが、これら3カ国も、別項で、過去のレジデンストラックやビジネストラックに基づき発給された査証の効力が停止されており、この反射的効果として新規のビジネス関係査証が原則発給されない状態となっています。これらの例外として、「特段の事情がある場合」には入国を認めるとされていますが、技能実習や特定技能において例外が認められた事案はほとんどありません。EPA介護など政府主導のもので一部再開の動きが始まっている程度です。

(2)検疫対策(強化措置) 
入国が認められても、次の段階の検疫措置がまた複雑化しています。ほぼ毎月、早いときには二週間で変化します。あまり報じられていませんが、変異株の種類によって対応が類型化されています。資料をご覧ください。入国後PCR検査陰性確認後政府指定施設における強制隔離がありますが、10日間コース、6日間コース、3日間コースの3パターンが良く報じられています。ただし、ここで述べられているのは、「水際対策上特に対応すべき変異株」などへの対応であって、9月27日以降この変異株には日本での蔓延株であるデルタ株は含まれていません。対象は、ミュー株、ラムダ株、ガンマ株(旧称ブラジル型)、ベータ株(旧称南アフリカ型)となります。技能実習に関係する国では、フィリピンが6日間強制隔離と厳しい対応がされていますが、これは、同国内でのブラジル型亜種の検出や香港へ渡航したフィリピン人からミュー型の感染が確認されたことから来るものと推測されます。対象国がないにも関わらず10日間の強制隔離措置制度が維持されていることからも、日本政府が、これら新型変異株の侵入にかなり神経質になっていることが分かります。これら4種の変異株以外の変異株、デルタ株も含みますが、これらの懸念国については別途の対応で一律3日間の強制隔離措置となっています。このように今後の入国制限緩和を見通すにあたっても、日本国内のデルタ株の感染が沈静化されつつあると言って、それがそのまま入国制限緩和に直結するわけではないことがわかります。 今後の再開時期ですが、近々方向性が示されると思われます。政府の対処方針なども大きく方向転換しています。9月9日には、水際措置の段階的な見直しに取り組むとされ、9月28日の前総理記者会見では制限を緩和していく方策を積極的に検討するとされました。 新政権になってからもこの方針は踏襲されているようで、10月18日の官房長官記者会見でも同様の発言がありました。また、15日にはコロナ対策の基本方針全体像の骨格が示されましたのをご記憶かと思います。今後関係省庁が骨格に基づき具体策を詰め、来月から実施を始めるという組み立てです。この全体像の骨格には入国制限緩和の方向が含まれませんでしたが、内外のコロナ感染状況が現在の趨勢で沈静化しつつ、かつ、ミュー株等の脅威の程度が判明するようになれば、同様に11月にも動きが出てくると期待されます。
では、どのように緩和していくのでしょう。報道によると、本年1月に入国規制が厳格化されて以降、1日あたりの入国者総数、つまり、入国する日本人と外国人の合計が、2,000人を超えないように規制されてきました。このため、日本政府は航空会社に対して便あたりの搭乗者数を規制しました。これが6月まで続きましたが、7月と8月はオリンピック・パラリンピック要因で合計が1日 3,500人を超えます。そして9月には方針変更し、現在は1日あたり入国者数3,500人までと総数規制をかけているようです。今後の制限緩和においては、まずは、この総数が拡大されていくものと考えられます。そして、「特段の事情」という抽象的な表現ではなく、昨年の例を踏襲すれば、「ビジネス関係者など」という表現で、短期商用、技能実習、特定技能などが認められていくものと考えられます。総数規制と言っても、国の選別はないとしても、検疫措置やワクチン接種証明との関係は出てきます。 入国の優先順位としては、過去一旦発給されたものの効力を停止された査証保有者の救済、在留許可証明を既に得ている者が優先されたのが昨年の例でした。1日の査証処理の制約がありますから、各国の我が方大使館・総領事館のHPに優先順位等が記載される場合があります。検疫上一定期間の自主隔離措置が継続する場合、GoTo 2.0など国内宿泊業支援策と入国制限緩和と時期が重なると、入国する外国人のための自主隔離用宿舎確保と競合する可能性があります。

(3) ワクチン証明書 
ワクチン証明書の取り扱いは外交的にとても難しい問題です。日本の当局が認可しているのが国内流通で3種類、ワクチン証明書としてインド製アストラゼネカ(コビシールド)が加わり4種類のみですから、それ以外のワクチンを接種した方は、水際措置における優遇措置を受けることは難しいのでしょう。しかし、入国が拒否されることはありません。ただ、長期滞在を念頭に置き、ワクチンの有効期間を考えると、同じワクチンを滞在中に追加接種できないことは制約要因となるのではないでしょうか。交差接種の適合性を考慮する必要があると思います。

 

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